書名:スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術
著者: ジェフ・サザーランド
発行所:早川書房
スクラムの考え方
- スクラムが目指すのは、チームのやる気を起こし行動につなげる考え方。
- より効率よく賢く仕事をして成果を上げる。
- スピードを鈍らせる原因になるものを見つけ、それを排除する。
- 個々の頭脳と、周囲の環境について得たフィードバックとを絶えず連携させられるシステムを作れれば、パフォーマンスが格段に上がる。
- 人間の行動の大半は、その人の持つ特性そのものより、われわれを取り巻くシステムが左右している。スクラムはこのシステムを変えるためにある。
スクラムチーム
- スクラムチームは、開発チーム・スクラムマスター・プロダクトオーナーで構成される。
- 仕事の進め方をスクラムマスターが、仕事の内容をプロダクトオーナーが管理する。
開発チーム
- 優れたチームの特徴
- 境界や限界を超える→高い目的意識
- 主体性→自己組織的かつ自己管理的
- 機能横断性→プロジェクトの完成に必要なスキルをすべて備えている
- 多様性(多様なスキル、多様な考え方、多様な経験)
- チームは利他的、主体的、機能横断的であって欲しい。
スクラムマスター
- チーム内に透明性が保たれるように気を配る。
- 障害になる事項、仕事のプロセスに問題がないかを率先して把握する。
- 各スプリントの終わりに以下の二点について考える。
- プロジェクトの進め方で変えられるところはないか
- 仕事を進める上でどこが一番の難関だろう
- スクラムマスターは問題があれば気づき、チームに伝える力がなくてはいけない。
- スクラムマスターの仕事は、仕事の障害になっているとわかった事象を次のミーティングまでに解消すること。
- 聞きにくいことを誰かが聞かなくてはいけない。
- 向き合いたくない事実をあえて指摘する。
- 望ましくない状況もすみやかに浮き彫りにする。
- 「賢い道化」
プロダクトオーナー
- 目指すビジョンは何かと、どこに価値があるのかの双方を把握できる人。
- 決定を強制や圧力ではなく、説得を通じて行う。
- エンジニアリングではなく、マーケティングを専門にする人物。
- 顧客の視点。
- チームの生産性を価値としてアウトプットさせる責任。
- 必要な4つの要素。
- 仕事の領域に精通している。
- 決定権を行使できる。
- すべきことは何か、なぜそれが必要かをチームに説明できる。
- 価値を説明できる。
基本的な考え方
検査と適応
- 折にふれて立ち止まり、それまでの仕事を振り返る。
- やるべきことからずれていないか、もっとうまくやれる方法はないかを検証する。
透明性
- チームメンバーを幸せにする要素
- 主体性:自分の運命を自分でコントロールできること。
- スキルアップ:何かについて自分が上達しているという実感。
- 目的意識:何かに力を尽くしているという感覚。
- 主体性、スキルアップ、目的意識をもたらすスクラムの要素が透明性。
- 秘密をいっさい作らないやり方。
スクラムイベント
デイリースタンドアップ
- シンプルな問い
- チームがスプリントを終了するために、昨日何をしたか
- チームがスプリントを終了するために、今日何をするか
- チームの妨げになっていることは何か
- チームはアグレッシブであってほしい。
- デイリーミーティングを終えたとき、その日にやり遂げるべき最重要事項を全員がわかっている。誰かがこのタスクは一日かかると言えば、他の誰かが一緒にやれば一時間でできると提案する。
- 毎日のミーティングのあと、「よし、今日はこれを完成させよう。これに取り組もう」と声が上がる。
優先順位
- 製品の価値の八割は二割の機能に含まれる。
- もっとも付加価値を与える要素は何か。
- 最初に何から始めるか。
- ビジネス上の効果が大きい項目、顧客にとっての最重要項目、もっとも利益につながる項目、一番簡単にできる項目。
- 最大の価値を付加でき、リスクが最小の項目。
- 一番価値ある部分を最短で実現。
- 肝となる二割の機能を完成させる前にでも届けたい。
- MVP(Minimum Viable Product)「実用最小限の製品」
無駄
- 無駄をなくすと目を見張るような効果が表れるが、実践していない人は多い。
- 無駄の3つの要素
- 過度の負荷による「ムリ」
- 一貫性に欠けることからくる「ムラ」
- 結果の「ムダ」
- 計画で「ムリ」を避ける。
- 実行で「ムラ」をなくす。
- 評価して「ムダ」を削除する。
- スプリントの終わりに何かがやりかけの状態であれば、そもそも手をつけない方がよかったことになる。
- 最後まで完了していない仕事と、売れていない、使われていない製品。両者は一つの同じ状態を表している。
- 最初から正しくやる
- ラインのどこかで問題が起きるとライン全体を止める。
- 止めた従業員を責めるためではなく、トラブルを解決するため。
その他
セオドア・ルーズベルトが1910年にソルボンヌ大学で行った演説「共和国における市民権」の一節。
名誉は、みずから競技場に立ち、顔を汗と埃と血にまみれさせて勇敢に戦う人間のものだ。判断を誤り、あと一歩で届かないことを何度も繰り返すかもしれない。失敗も欠陥もない努力など存在しないからだ。…たとえもし失敗したとしても、果敢に挑戦した結果の敗北なのだ。したがって、彼は、勝利も敗北も知らない、情けのない臆病なものとは決して同列になることはない。